【筋膜のプロに聞く】フォームローラーの効果的な使い方とは?

最近人気!フォームローラーとは?

スポーツジムなどで見かける凸凹した筒状のエクササイズ器具「フォームローラー」。身体をローラーに乗せてコロコロと転がすだけで、ガチガチに固まった背中や腰がふわふわ!パンパンだったふくらはぎもぷるぷる!ほぐれて気持ちいいと人気の筋膜リリースが自宅で手軽にできるので使っている人も多いと思います。

しかし、気持ちいいからといってやりすぎると硬くなることも。痛い方が効いている感じがして、やりすぎてアザになった…なんて声も耳にします。今回は、筋膜リリースヨガの指導者である筆者がフォームローラーの選び方、効果的な使い方、目的別の筋膜リリースメニューをご紹介します。

身体のコリをリセット!筋膜リリースとは

筋膜リリースとは、筋肉を包んでいる筋膜の縮みやねじれを持続的なやさしいストレッチでリリース(解放)する手技のこと。簡単にいうと、筋肉のこわばりや張りをほぐすことができるケア方法ですね。

筋膜とは

筋膜は「第二の骨格」とも言われ、スパイダーマンのタイツのように、頭のてっぺんから足や手の先までネット状で覆っています。鶏のむね肉を思い出してもらうと、皮と身の間に薄い白い膜がありますよね?あれが筋膜です。人間の身体だと皮下脂肪と筋肉の間にあり、筋肉だけでなく、骨や内臓、血管、神経などのパーツも包み、支えている、縁の下の力持ちのような組織。

主な仕事は、体内組織(骨、筋肉、内臓など)をあるべき場所に保つこと。姿勢の悪さや骨折、ケガなど何らかの影響で筋膜が縮み、ねじれると身体にもゆがみが生じ、そのゆがみからコリ、血行不良で冷える、脂肪がつきやすいといった状態に繋がります。

フォームローラーは筋膜リリースに効果的

フォームローラーは、筋肉・筋膜をもとの柔らかい弾力のある状態へ戻すのに役立つツールです。まずは、フォームローラーで行う筋膜リリースの効果を知っておくのが◎。継続するモチベーションに繋がりますよね。
ここでは筋膜リリースの主な効果を5つご紹介します。

マッサージ効果・リラックス効果

フォームローラーによって筋肉および筋膜を緩め、柔軟にしてマッサージ効果を高めていきます。組織の弛緩によってリラックス効果も感じることができます。

ゆがみの改善

筋膜の短縮(原因は姿勢の問題、精神的、ケガや手術などによって起こる身体のゆがみやねじれ、ストレス)がリリースされることで筋膜が柔らかくなり、ゆがみが改善されます。また、ゆがみからくる首こりや肩こり、腰痛などの緩和も期待できます。

疲労回復効果

筋膜はリンパや血管も包んでいます。筋膜の動きが悪くなると、これらの流れが悪くなり、免疫や代謝にも問題が出てきます。筋膜リリースを行うことによって筋膜の動きがなめらかになり、栄養や老廃物の交換が効率よく行われ、冷えにくい、むくみにくい身体へ。疲れを溜めにくい身体へ導くことが期待できます。

ストレス、感情の放出

アメリカの研究では、「事故や精神的なショックなどの外的なハプニングが、カセットテープのように筋膜にも記憶される」と考えられています。苦手な人の前では勝手に身構えてしまうといった現象は筋膜の記憶装置によるものと言えます。
筋膜リリースを行ったときに、溜まっていた感情があふれ出すことがあります。その場合、疲れたなとか、スッキリしたなといった感覚が出てくることがあります。人によって様々ですが、思いっきり泣いたあとのような感覚に似ているかもしれませんね。

柔軟性・パフォーマンスの向上

筋膜の中には、身体の位置や動きに関する情報を感知する器官や神経が存在します。筋膜リリースが行われると位置覚が改善し、身体の位置や姿勢、動きの情報がうまく伝わるようになるんです。

位置覚とは、視覚などに頼らずに自分の身体の部位がどの位置にあるかを判断する深部感覚のこと。

筋膜をほぐすことで細かい力の伝達が改善されて感覚が研ぎ澄まされていくため、柔軟性やパフォーマンスの向上が期待できます。

フォームローラーの選び方

フォームローラーを正しく使って最大限の効果を得るためには、サイズや素材、耐久性(耐荷重)は大事!

サイズ

サイズは一般的な「長さ約30cm」が、初心者でも筋膜リリースやストレッチに使いやすいと思います。
10cmほどのものは二の腕や足の裏、50cm~70cmのものは背中のトレーニング目的とされていますが、これらは慣れてから使用目的に合わせて選ぶといいでしょう。

耐久性

続いて注目したいのが、凸凹の硬さと耐久性(耐荷重)。フォームローラーの凸凹は、ほとんどがEVAという合成樹脂で作られており、柔らかいものから硬いものまであります。凸凹の部分は押したときに弾力があるものがベター。初心者やご年配の方、痛みに弱い方は触れるようなら柔らかめを選びましょう。通販の場合はレビューを参考にするといいですね。

フォームローラーを使う時は、体重の半分以上かけて使用します。目安として耐荷重「300kg」と記されていれば男女ともに安心です。消耗品なので使っているうちに割れることはありますが、これもレビューを参考にして選びましょう。心配な方はローラーの中芯部が空洞でないタイプを選ぶのもアリです。

フォームローラーを使った筋膜リリース3選

それでは、フォームローラーを使った筋膜リリースをやってみましょう!フォームローラーの使い方は、基本的に体重を乗せたままの【持続圧リリース】、ローラーの上で身体を上下左右に動かす【コロコロリリース】を組み合わせていきます。

【肩・首こり、猫背】肩甲骨リリース

肩甲骨の動きが出やすくなるので、まずは胸のストレッチから行いましょう。ローラーの上に仰向けになるだけだからラクチン!肩が開いて胸がとろけるように伸ばされるので気持ちがいいですよ。腕を動かす時は肩甲骨が動いているのを感じましょう。

  1. 【肩と胸のストレッチ】両膝を立て、頭がはみ出さないようにローラーの上に乗る。両腕は体側に伸ばして大きく呼吸しながらリラックス。
  2. 【肩甲骨はがし】お尻を上げて、肘を上下(頭の方、お尻の方)、左右(天井の方、床の方)に動かす。
  3. 両手で肘をつかみ、頭方向へくぐるようにバンザイ。腰が反らないようにしましょう。

【巻き肩・猫背・呼吸】脇の下リリース

脇の下をリリースすると老廃物スッキリ。肋骨は痛めやすい部位でもあるので、体重を乗せて上下にコロコロせず、腕を動かすと脇の下の筋膜リリースができます。巻き肩や猫背など姿勢改善、バストアップ、呼吸がしやすくなる…嬉しいこと尽くし!

  1. ローラーをあてる場所は、バストトップと同じ高さのところ。
  2. 横になり肘を曲げて身体を支え、脇の下(「1」の場所)にローラーをあてる。
  3. 身体を動かさず、圧をかける。肋骨を膨らます→しぼむように呼吸を30秒行う。
  4. 痛くなければ、下側の腕をワイパーのように上下に動かす。ローラーが当たっている部位に効いているのを感じながら15回。腕の動きがだんだん良くなるはず!

【O脚・腰痛・下半身太り】外ももリリース

太ももの外のハリをほぐします。ここがほぐれると、股関節周りも緩み、動きがよくなります。

  1. 脚の付け根と膝の真ん中にローラーがあたるように、ローラーの上に乗る。
  2. おへそを斜め上に向けて、ローラーが外もものやや後ろにあたるようにする。
  3. まずは動かずに圧をかける。呼吸をしながら30秒×2セット。
  4. 身体を前後に揺らす。おへそが下、上…と向くように、前脚で支えながら10回程度。

痛いのは逆効果!やってはいけない3つの注意点

「YoutubeやInstagramを見ながらほぐしています」という方も多いのではないでしょうか。フォームローラーがあると、自宅でラクチンにほぐせる一方、やり方を間違えると逆に筋肉や筋膜を硬くしてしまうことがあります。フォームローラーを使う前に、筋膜リリースの効果をさらにアップするためにも「やってはいけない注意点」を解説させてください。

強くゴリゴリしない

「痛いほうがほぐれている、効いている感じがするから」「痛くても我慢」と思って懸命にローラーをコロコロ、体重を乗せてギュウギュウ。圧をかけすぎたり、長時間コロコロすることは逆に筋肉や筋膜を痛めてしまう可能性があります。

フォームローラーを使う時の適度な圧・強さの度合いは、呼吸がスムーズにできるレベル。痛みを感じやすい人とそうでない人がいますから「うわ、痛いかも」と思ったら体重のかけ方を変えたり、緩めたりしましょう。

長時間やりすぎない。目安は30秒×2〜3セット

なんでもやりすぎは良くありません。フォームローラーも長時間行いすぎると、やはり筋膜や筋肉を傷つける可能性があり、痛みを増長することがあります。フォームローラーで一ヶ所をほぐす時間の目安は30秒×2〜3セット。休憩を挟ながら、呼吸をゆっくりと行うと効果を感じやすくなります。

骨や神経をコロコロしない

骨にあたると痛いですし、とくに気を付けたい骨は背骨(とりわけ頸椎と腰椎)と肋骨です。肋骨は痛めやすく折れると大変な骨なので、たまに「脇をほぐすために、体側をフォームローラーに乗せてコロコロしましょう」という動画もありますが、コロコロせずにそっとやさしく体重を乗せましょう

また、神経にあたるとビリッ!とした痛みが走ります。もしそういった痛みや違和感を感じたときはフォームローラーをあてる場所をずらしたり、指の腹で揉むようにしましょう。

フォームローラーを使って気持ちいい毎日を

フォームローラーは自宅で誰でも気軽に使えるアイテムです。ぜひ、在宅ワーク中のすきま時間やヨガレッスンの前後に使って、柔らかくしなやかな身体、コリや疲労を溜めない身体を作っていきましょう。

パワーヨガなど運動強度が高いレッスンの場合は、レッスン後にフォームローラーで身体をほぐしてあげて♪
リラックスヨガなど呼吸をしやすく、座りやすい身体に整えたいレッスンの場合は、レッスン前にこわばっている部分などをほぐしてあるといいですよ。

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投稿者: 大宅菜穂

股関節の不具合と反り腰による体型コンプレックスから、ゆがみを作らない「姿勢」「身体の使い方」の研究に目覚めたカラダオタク。 体を動かす楽しさ、動かせるようになる嬉しさに魅了され、編集者一筋の人生に終止符! RYT200のほか、骨盤調整や筋膜リリースヨガなどの資格を取得。現在はヨガ指導者&フリーライターとして活動中。 『頑張りすぎる身体と心をゆるめるために』。ヨガとコトバで伝えています。